株式会社マックスデザイン

2025年03月03日 週刊エコノミスト 「会社の流儀」掲載

適正運賃の追求で創業20周年を迎える気鋭の運送企業
2024年問題をクリアした上で政治・行政にもの申す

株式会社清光ライン代表取締役 清水朋一

 2005年4月28日、前職の運送会社から独立し、たった一人でトラック1台から創業した株式会社清光ラインが、間もなく創業20周年を迎える。一説には、ベンチャー企業の創業20年後の生存率は僅か0.3%に過ぎないと言われる中、しかも生存競争の厳しい運送業界で、幾多の苦境を乗り越えて生き残ってきたこと自体、一つの壮挙と言えよう。

 埼玉県戸田市美女木の本社を訪ね、創業者の清水朋一社長の話を聞いた。一歩オフィスに入った瞬間、双子の可愛いトイプードルの盛大な吠え声に歓迎された。面喰らっていると清水社長の「撫でて欲しいだけですよ」の一声があり、その通り撫でてあげると途端に懐いてくれて、腰掛けたソファーの隣で2匹揃ってスヤスヤと寝息を立て始めた。その寝姿の何とも可愛いこと。本社スタッフのマスコットとして、職場の空気を和ませている日常が垣間見えた。

同社のマスコット。トイプードルの「モカ」と「マル」

 さて、本題に入ろう。
 長距離輸送を中心にトラック1台の創業から順調に業績を伸ばし、社員も増員、9台まで増車した頃、08年に端を発するリーマンショックの影響で環境は激変。ガソリンの小売価格が1㍑180円台まで上がり、長距離輸送を受注するほど赤字が増えるという悪循環に陥った。
「仕事の総量も激減し、9台あったトラックも5台に減らしました。その頃から採算の合わない長距離輸送を止め、ドライ製品に特化した関東一円への中距離輸送に切り替え、現在の業態に移行して行きました」と、清水社長は当時を振り返る。
 以来、各種建材の工事現場への時間指定配送や、自動車部品から雑貨まで、ドライ製品に特化したきめ細かい輸送サービスの提供で実績を積み、現在では、大型から中・小型の各種トラックやリフトも含めて87台の車輛を保有するまでに成長した。取り扱う貨物の荷姿に応じて取り揃えた、ユニック車・ゲート車・エアサス車など多種にわたる保有車輛のラインナップは目を見張るものがあり、同社が保有車輛数埼玉県下随一と自負するのも頷けるところだ。

 リーマンショック収束以後も、11年3月の東日本大震災によるサプライチェーンの混乱や、20年初頭からのコロナ禍による需要の停滞など、数々のピンチを経験してきた。それらの苦境に際して同社は、運送業務のみならず配車管理、原価チェック、収支バランスの調整などすべてに精通した清水社長持ち前の胆力と、各社員の頑張りで乗り切ってきた。

 さらに追い打ちをかけたのが物流業界の「2024年問題」だ。

 これは、働き方改革関連法の一環で、24年4月以降、自動車運転業務の年間時間外労働時間の上限を、960時間に制限するというもの。

 この法令は、荷積み、荷下ろし、運転の他、積み地・下ろし地での待機時間や仕分け・検品など、荷主都合で拘束時間が不規則になる運送業界にとって、死活問題とも言える規制だった。さらに個々のドライバーの収入減にも繋がり、離職を余儀なくされる事例も多発したという。これに対して同社では、理解ある荷主との折衝で、拘束時間を短縮する様々な施策などの協力を得る他、敢えての受注総量の削減などで対応。結果、売上高の減少や車輛の減車、意図せぬドライバーの離職なども甘受してきた。

 同社のように身を削って厳しい規制をクリアする会社がある一方で、政治・行政の目の届かない零細事業者は野放し状態で、旧態依然の労働環境の下、仕事が集中する傾向があると言う。清水社長はこの矛盾に満ちた状況を憂いて次のように話す。

「社会の『血管』とも例えられる物流業界は、打ち続く人手不足や労働時間の短縮で、早晩『モノが運べなくなる』事態を迎えています。政治・行政を司る方々には、現場の状況を詳しく理解して戴いて、社会活動が停滞しないような施策を望みたい」

大手建材メーカーとの
安定的取引で堅調を維持

 リーマンショックで苦難を経験して以降、安易な値引き競争には目もくれず適正運賃を貫き、その分高品質輸送の提供でプレカット建材、プレハブ建材などの大手メーカーからの根強い信頼を獲得してきた同社。新たに大手ホームセンターや同グループの建材販売会社等の顧客も獲得し、売上高は減少傾向にある中でも、利益率の向上で堅調を維持している。

「適正運賃は人件費や燃料費、車輌減価償却費、安全対策や環境対策の経費などから設定しますが、荷主との運賃交渉で折り合いが付かなければその仕事は受けません。安易な妥協が先々の業務品質の劣化に繋がるからです。ドラレコやデジタコの標準装備は勿論、ドライバーの士気を高める5年から10年毎の新車への買い替えなど、これら経費は品質維持のために欠かせない投資なのです」

と、強気の姿勢を貫く清水社長。その姿勢が逆に各業界の大手企業からの厚い信頼に結び付き、迅速・確実・安心・安全な出荷から納品までの自社一貫輸送システムの確立・遂行に繋がっているのだ。

建設部の受注拡大で
相互補完体制を構築

 一方同社では、17年3月に建設業許可を取得し、その後縁のあった建設会社を傘下に入れ、同年5月に19年(株)清光建設を設立、建設業界に進出している。

 そこでは、関東での大手警備会社のセキュリティー施工や沖縄・米軍基地など大型施設の電気工事を主に担当。近年建築部門の受注も拡大傾向にあり、このほど大手警備会社傘下の設備工事企業から継続的な電機工事請負業務を受託。運送業との相互補完体制の構築で、将来に渡って盤石な収益基盤を築くに至っている。

 グループ2社で本社のほか、岩槻営業所・笹目営業所・戸田車庫・沖縄支店・笹目5丁目倉庫の6拠点を展開する同社は、近い将来の新たな拠点取得も計画中だ。

 このように勢いを失わない同社にとっても、物流を担う人材不足は大きな課題だ。80名の従業員の平均年齢が40代に差し掛かった同社は今、若手ドライバーの参加を歓迎している。
「2024年問題」もクリアし、働き方改革を推進している同社は将来性も豊かで、「自分が会社を盛り上げる」という気概を持つ若者には格好の職場と言えよう。
 同社HP上の求人情報のページでは、漫画による会社紹介欄も掲載。面接の際には、きっと可愛い2匹のトイプードルが嬉々として貴方を歓迎してくれることだろう。
「資格取得の推奨や経験豊富なベテラン社員による丁寧な指導で、すぐに会社には馴染めるはず。活きのいい若者の参加を期待しています」と、清水社長は門戸を開く。

【会社データ】
株式会社清光ライン

本社=埼玉県戸田市美女木2-19-6
TEL=048-872-0723
創業=2005年4月
資本金=1000万円
従業員数=80名
事業内容=一般貨物自動車運送業・廃棄物収集運搬業・建設業等
https://www.seikou-line.com/

株式会社清光ライン/清水朋一 代表取締役
『注目企業WEB』は株式会社マックスデザインが各分野における優良企業を独自に取材し、トップインタビュー形式でご紹介しています。

編集タイアップ企画のパイオニアとして、頑張る日本の中小企業を応援しています。マスメディアでは報道されない各社の素顔と魅力をお届けします。

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