株式会社マックスデザイン

2025年01月06日 週刊エコノミスト 「会社の流儀」掲載

プラスチック総合メーカーとして88年。新代表を迎えて、
一歩踏み出すチャレンジ精神で更なる飛躍を目指す

天昇電気工業株式会社石川忠彦会長(左)、藤本健介社長(右)

石川忠彦会長(左)、藤本健介社長(右)

1936年5月の創業以来88年、プラスチック総合メーカーとしての歴史を紡いできた天昇電気工業株式会社は2024年6月、13年の就任以来11年間、リーマンショックに端を発する痛手からのV字回復に同社を導いてきた石川忠彦前社長(現・会長)に代わり、経営のバトンを藤本健介社長に引き継いだ。

藤本社長は新潟県出身、慶応義塾大学商学部を卒業後85年に三井石油化学工業(現・三井化学)に入社。19年から5年間、三井化学系のプラスチック原料メーカー・プライムポリマー社の代表を務めた後の昨年6月、同社代表に就任したプラスチック業界一筋の人だ。

「天昇電気工業は前職当時からの有力顧客で、その歴史に培われた金型製作、射出成形及び表面加飾の高い技術力を評価していました。特に石川前社長時代に、アジア勢メーカーの台頭により陰りが見え始めたOA・家電分野から、主力をハイブリット・EV化など車体の軽量化が求められ始めた自動車分野にシフトした際の技術対応力には感心したものです。今回、石川前社長からバトンを引き継ぐに当たり、開発型『ものづくり』企業としてのDNAを大切に伸ばす一方で、変化を怖れず一歩踏み出すチャレンジ精神も根付かせていきたい」と、藤本社長は着任して半年経過時点での意気込みを話している。

歴史に培われた技術力が
固有のDNAとして息付く

近年、SDGsや環境保護の観点から、世界的に「脱プラスチック」の風潮があるが、プラスチックを「ごみ」として廃棄するのではなく、正しく分別して資源として再利用する効率的なリサイクルを推進することで、環境汚染の懸念を遥かに上回る人間社会にもたらす効用が、素材としてのプラスチックにはある。

軽量かつ高強度で耐候性や耐薬品性に優れ、電気や熱の絶縁性が高く微細な精密加工も容易。しかも用途に適した機能を付加できる多様性があり、コストも低く抑えられる。生活する上で、プラスチック製品に触れない日はないように、かくもその効用は無限に広がっているのだ

同社の歩みは正に、その多様な効用を見出し、活用し、開発に結び付けてきた「ものづくり」の歴史だ。

創業当初のソケットやスイッチなど電機部品の製造から、木製だったラジオの筐体をプラスチックに転換した快挙。高級感のあるカラーテレビの外装材や液晶テレビ向け機能部品など量産にも対応。近年では、自動車のフロントグリルなど大型部品の精緻な一体成形や、デザイン性の高い高級オフィス家具、フィルム加飾された機能性・安全性に優れる宅配ボックスなど、いずれも高い技術が要求される委託生産の要請にも的確に応えている。

同社ではこれらの要請に対して「アイデアを形にする」を旨に、商品企画から製品設計、金型製作、成形、加飾、組み立てまで、一貫した生産体制を実現。福島・矢吹・群馬・埼玉・三重の国内5工場と、21年に資本参加した竜舞プラスチック㈱の工場に加え、天昇塑料(中国)・三甲プラスチックスメキシコ・三甲アメリカの海外3拠点の内の最適地で、激変する多様な需要に柔軟に対応。グループ全体で、50~3500㌧の幅広い金型・製品サイズに対応する射出成形機を200台以上保有するという圧倒的な数字は、同社の並々ならぬ総合力を如実に示している。

2022年に第二工場を増築した三甲プラスチックスメキシコ(メキシコ・ロサリート)
福島工場(福島県二本松市)
矢吹工場(福島県西白河郡)
三重工場(三重県伊賀市)
竜舞プラスチック㈱(群馬県太田市)
グループ全体で200台を超える射出成形機を保有(写真は矢吹工場第二工場)

また、同社の持つ特殊技術・「華飾」(表面加飾技術)は、製品の仕上がりをワンランク上に導く付加価値技術だ。真空状態でフィルムを貼付・転写する3次元表面加飾や、カーボン製品への特殊塗装も手掛ける塗装技術、凹凸面にも対応するパット印刷や水圧転写など、同社の「華飾技術」は、素材に秘められた可能性を掘り起こす大きな武器となる。

自動車、OA・家電、自社製品
向けの比率を3分の1ずつに

同社が積み上げてきた「ものづくり」精神のDNAは、数々のユニークな自社製品をも生み出している。

まず、医療現場の安全と環境を守る「ミッペール」。医療機関で発生する感染性医療廃棄物などの専用容器で、密閉状態のまま、周囲に飛散させることなく安全に焼却処理できるベストセラーで、先のコロナ禍の時期や除染活動・鳥インフルエンザ対策にも大いに役立ったものだ。

続いて業界初の導電性プリント基板収納ラック「テンサートラック」。電子部品の静電気破壊を防ぐことから繊細な電機業界に重宝され、静電気除去ボックス「テンバコED」と共に普及している。

そして、ゲリラ豪雨等による洪水・冠水を防ぐ「テンレイン・スクラム」。大型商業施設の駐車場地下や公園・グラウンド地下などにスクラムを組むように多数設置して地下空間を形成、雨水を一時的に貯留して溢れさせない。異常気象の続く昨今、是非導入したい効果絶大の施設だ。

感染性廃棄物容器「ミッペール」
導電性プリント基板収納ラック「テンサートラック」
雨水貯留浸透施設「テンレイン・スクラム」
雨水貯留浸透施設「テンレイン・スクラム」施工写真
雨水貯留浸透施設「テンレイン・スクラム」施工中の様子

「当社の現状の売上構成比は、自動車向け70㌫、OA・家電向けと自社製品が各15㌫という案分。今年9名、来年20名の新卒社員の参加も得て、変化を怖れず一歩踏み出す挑戦を続けることで、自動車向けをさらに伸ばした上で各分野の構成比率を3分の1ずつに伸長させ、100年企業に向けた盤石な土台を作りたい」と、藤本社長はさらなる事業拡大を目指す意欲を語っている。

【会社データ】
天昇電気工業株式会社

本社=東京都世田谷区駒沢1-16-7駒沢中村ビル4F
TEL=03-6805-2577
創業=1936年5月
資本金=12億800万円
従業員数=約730名
売上高=269億円(24年3月期)
事業内容=各種プラスチック成形加工、各種金型設計・生産販売、各種自社製品の設計・生産販売等
https://www.tensho-plastic.co.jp

天昇電気工業株式会社/石川忠彦会長、藤本健介社長
『注目企業WEB』は株式会社マックスデザインが各分野における優良企業を独自に取材し、トップインタビュー形式でご紹介しています。

編集タイアップ企画のパイオニアとして、頑張る日本の中小企業を応援しています。マスメディアでは報道されない各社の素顔と魅力をお届けします。

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