多角的な取材による的確な市場分析で経営判断をサポート 創業以来貫く「足で稼ぐ活きた情報」は珠玉の判断指標だ
株式会社工業市場研究所日暮 琢也 社長
インターネットの隆盛で、あらゆる情報が容易に入手できるとの錯覚が蔓延している昨今。ところが、新しい技術の将来性や、これまでにない事業の開拓可能性の検証となるとそうはいかない。
簡単に入手できるオープンデータは、既に情報が古かったり、作成者の思惑が投影されていたりするなど、実態を反映していない例も多い。そんな中、1967年の創業以来57年に渡り、「足で稼ぐ活きた情報」の提供を貫くマーケティングリサーチの会社が、様々な企業の経営判断に貢献、高い評価を受けている。現在では東京・大阪の国内拠点の他、中国・上海、タイ・バンコクに海外拠点を構え、80名を超える精鋭調査員を擁する、株式会社工業市場研究所だ。
同社が実践する「足で稼ぐ」情報とは、例えば工業製品の場合、ユーザー層、メーカー側、流通業者など、その製品に関わるあらゆる階層の情報源に直接訪問や電話取材でヒアリングすることで、そのように得られた情報を精査し、中立的で多角的な分析を行う事業としてスタートした。
ただし、2000年代はじめまでは、売上対当期利益率2㌫を切り、有利子負債は3億円を抱え、自己資本比率も20㌫台、財務的には不安定であった。このため全方位的な財務改善計画を策定した。以来、業務の高付加価値化や社員の人件費は上昇させつつ固定費の圧縮を図るなど、利益率向上を模索。借入債務の圧縮と自己資本比率の向上による財務基盤の安定を目指してきた。
また、業務改革として毎月の業績や、経営課題への対応方針などを都度、社員に開示し、会社の方向性を明示するとともに、見積りや報告書作成・受注承認・与信管理・入金や経費管理の方法を明文化するとともに、各種業務のⅮ✕化を進めてきた。
またこの間、外国籍社員や海外留学経験者の積極採用と育成を進め、海外拠点の整備、ネットワークの構築、情報発信サイトの立ち上げなど、グローバルな調査体制の充実を図ると共に、中央省庁や地方自治体など公的機関からの受託業務も拡充してきた。一方、不動産の事業領域でも、従来の国内分譲マンションマーケットに加え、海外マーケットや地方創生、非分譲住宅分野、公共機関からの受託業務等、情報ニーズの変化に対応。顧客層を広げ、定例的に開く各種の会合・勉強会には毎回幅広い顧客層を集客、中には200回を超える会合もあるという。
こうした経営改革の結果、21年には有利子負債を全て完済し、24年の最新決算では売上対当期利益率8㌫、流動比率1000㌫台、自己資本比率も83㌫と財務内容を大きく改善し、4期連続増収増益となった。
「産業部門」と「住宅・不動産部門」が2本柱
現在7代目として代表を務める日暮琢也社長は、1985年に同社に入社。電子材料や環境・エンジニアリングなどの業務に従事した後、06年に取締役第1事業本部長、09年からの財務担当管理部長兼務を経て、15年に代表に就任して9年目になる。
財務改善計画では、固定費の圧縮が喫緊の課題の最中でも、最も高い比重を占める人件費の上昇を敢えて図ってきた意味を次のように語る。
「当社の80名を超える調査員はそれぞれに得意な事業分野を持ち、その豊富な知見で常に最新で緻密な情報収集をしています。昨今の短期的な経営指標の追求や、人件費の圧縮など必要以上の効率化の風潮には距離を置き、長い目で見て最大の財産である『人』の待遇の向上を最大の経営課題として取り組んできた」
同社の事業部門は、先端材料・化学、製造業、環境・エネルギー、医療・ヘルスケア、消費財・流通、ⅠT・サービス、農業分野等「産業部門」を広くカバーする第1事業本部と、国内外のマンションや住宅、ホテル、商業施設、オフィス、賃貸住宅、高齢者向け住宅、物流施設等「住宅・不動産部門」を専門的にカバーする第2事業本部の2本柱からなる。
例えば「産業部門」では、自動車業界においてEVの新技術が登場し、2010年代初頭にはマスコミが短期間でEVの普及を喧伝する中、その業界を隈なく取材し、「実は技術的な制約があって、EVの進展はかなり遅れ、普及には相当の時間がかかる」と報告し、現在までの状況を的確に言い当てている。その他、重大な経営判断に資する貴重な調査を幾つも実施しているのだ。
一方「住宅・不動産部門」では、圧倒的な情報収集力と緻密な分析力で、国内外の住宅・不動産のリアルデータを提供。1993年から毎月発行している首都圏新築分譲マンションデータサービス「KOHKEN REALTY MONTHLY REPORT」をはじめ、「にもく会」「さんもく会」「しきの会」等の定期的な業界の情報交換の場を主催・運営するなど、業界のハブとしての役割を果たしている。
「人」が最大の財産。
整備進む「安心して働ける職場環境」
同社は、「社員が安心して働ける職場環境」の整備にも長きに渡って精力的に取り組み、コンプライアンスの遵守やハラスメントのない社風の確立について日暮社長は訓示のたびに自戒を含め繰り返し語ってきた。
最後に日暮社長は「現在、経営を含め世代交代を進めているが、これからの世代も『人』を大切にしながら高付加価値で収益性の高い事業を作りつづけてくれると信じている」と、エールを送っている。
【会社データ】
株式会社工業市場研究所
本社=東京都港区西新橋3-6-10 マストライフ西新橋ビル
℡=03-6459-0150
創立=1967年8月
資本金=1500万円
従業員数=90名
事業内容=産業全般のマーケティングリサーチ・コンサルティング、調査レポート、調査資料の出版等
https://www.kohken-net.co.jp
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